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リンク展12が無事終了して、一息つくのとともに
最近体験して感じたことを残しておこうと思います。

今回出した作品は、電信柱でした

フランス滞在中に日本に思いを馳せながら、自分の日本人としてのアイデンティティと、
電信柱を通して見えてくる背景が重なることに気づき、今思えば救いを求めるかのように描いていた
と同時に、いずれ消えていくものを、
自分がこの時代に生きた印として遺しておきたいと


2011年の震災の直前まで、私はフランスに一カ月ほど行っていて、前日に日本に帰ってきました
そして、福島の事故

今まで、美しいと思って描いてきた電信柱が
ぜんぜん違うものになってしまった

電気と私たちを繋ぐもの
この線を辿ったさきには、おそろしいものがいる

しばらく電柱は描けないなと思って



リンク展は社会的な題材を取り上げる、考えさせられる展覧会だと思います
この与えられた機会に考えないでどうするのか

今回は、自分への挑戦と福島の方々から直接お会いして直に感じたことを込めて作ろうと

まだまだ改善されていない状況
苦しみや、悲しみは未だ続いている

彼らの涙は、私たちの涙




今回、制作中に福島や、そこから移住した子供達とお母さんのキャンプに参加してきました
お互いの人見知りもあって、ときには側にいるだけの状態にも陥りましたがw

いまの彼らには出来ないこと
それは、川に入って遊ぶこと、土に触れること

食べ物の心配をしなくても、
毎日オーナーさんが自分の畑で採れたお米をその日に必要な分持ってきてくれる
線量とか、何処から来たのかとか
多分これからも長い間付き合っていかなければならない現実から
ほんの少しだけの息抜きを、お母さんと子供たちに与える 
そんな目的のキャンプでした

滞在していたお家は、エコヴィレッジで、畑に囲まれた空気のきれいな山の中です
トイレのお水は雨水で補われていて、途中からは壊れてしまって川に毎回汲みに行くという不自由さw
電気はソーラーで昼間に発電
ガスはないので、コーヒー飲みたいなぁと思っても、薪を割るところから始まって、火を焚いて、飲めるのは一時間後
夜寝ていたら、虫が顔に落ちてきたー!ってみんな騒いでいましたw

私は炊事のお手伝い担当だったんですが、なんせ大人数の料理で、滞在中ずーっと玉ねぎを切ってた気がします

自然の中で生きていくのは、大変で
面倒で、時間がかかるもの
だから私たちは、少しでも便利になるように色んなものを生み出してきた
加速する歩みは、もう止めることはできなくとも、

選ぶことはできないだろうか




夜中に子供達が寝静まったあと
お母さんたちと、お話をしているなかいくつか心に刺さることがあったので書いておきます

除染作業で出た土を、ある県が受け入れることになり、そこに運び込まれた後に、拒否され
川に置きっぱなしになってしまって、川の線量を測ったら結構高かったという話

その話を聞いていたあるお母さんが、ボロボロと泣きだして、「福島の土がそんなところで迷惑かけているんだね」と

私はその涙に、何かが狂ってる と思わずにはいれなくて
彼女たちが人が良すぎるとか、声をあげればいいとか
そんなことではなく

彼らがそう感じてしまうような状態を、いま国が作り出している ということ
彼らが抱えなくてもいいことまで、責任を感じるように収められているということ

除染にしても、国が作業してくれるのは敷地内だけなので、通学路や犬の散歩道、普通に生活をするための場所はそのままで
地域や学校の先生方が協力して行っている
でも受け入れる場所がないので、結局校庭の隅に置きっぱなし
そんな現実があるから、彼女は涙を流したのだと思う
自分たちの手で除染したものが居場所をなくして、何処か他の場所を汚していると


あるお母さんは、子供たちの将来を考えると、履歴書に福島と書くと就職とか難しくなるんじゃないのか
そんな心配が居場所を変えた理由のひとつだとおっしゃていた

本来いた場所を偽らないと生きていけないなんて
やっぱりおかしい
お母さんたちの悩みは切実で、生活そのもの
動きたいけど動けない
お金の問題もある

そんなことないよ
って、軽くも言えないなんて

大丈夫!とか...
心を軽くしてあげるために かけれる言葉がでてこなくて 
情けなかった




制作にあたって、眠っている素材や、うきうきするような作りたいもの、も沢山あるのだけれど、
今回はやっぱり電信柱を描こう
勿論こんな思いを全て込めるのはムリで、技術も心もついていかない
それでも、

私にできることは、微力であっても描くこと
少しでも立ち止まってもらって、考える機会をつくること


今回のリンク展は4000人を超える来場者に訪れて頂いて、本当に何よりです
どれくらいの人に問いかけれたかは、わからないですが、
リンク展には私だけでなく、沢山の作家さんが様々な作品を通して訴えておられます
毎日の入ってくる情報も、ずっと向き合っているのは疲れてしまう
でも、自分の出来る範囲で、ときにはちゃんと見てみよう


最後に作品のお写真
石上さんありがとうございます!

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そして、ほっこりの一幕
アコーディオンを演奏する すぎやまさん
とても素敵な作品を作られる作家さんです

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長くなりましたが、読んでいただいてありがとうございます




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